なりゆき皇妃の異世界後宮物語
☬仲たがいの代償
今宵、陛下がお渡りになる報告を受けた朱熹は、今までにない緊張感に包まれていた。


 自覚してしまった好きという気持ち。


 大事な話をするために来るとは分かっていても、先日のキスのことが頭から離れない。


 またあんな雰囲気になったらどうしようとそればかりを考えてしまう。


 嫌なのではない、むしろそうなることを望んでいる自分がいる。


 もう一度、求められたいと心密かに思っている自分が恥ずかしい。


 そして曙光は報告通り時間ぴったりに朱熹の部屋を訪れた。


 いつもの場所に通し、二人は少しだけ距離を空けて座った。


 気まずい雰囲気になる前に曙光が本論を切り出した。


「今日は兄さんの話をしに来た」


 朱熹は何を言わずにこっくりと頷いた。
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