なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 本を選びながらも、外の様子が気になる。


 陽蓮さんは、今日も来ているかしらとチラチラと頭をよぎる。


 その時、突然屋上の方から木が裂けるような大きな音が鳴り響いた。


(な、なに!?)


 驚いて外に出ると、折れた木の横に倒れ込んでいる陽蓮の姿があった。


「陽蓮さん!」


 慌てて駆け寄り、体をさする。


 すると陽蓮は、「うう……」と小さく呻いた後に、ゆっくりと目を開けた。


「やあ、こんにちは」


 何事もなかったかのような笑顔を見せる。


「やあ、じゃないですよ! 大丈夫ですか!?」


「うん、ちょっと木登りしてたら、木が折れちゃってさ。僕ってけっこう重かったんだね」


「木登り!?」


 大の大人が木登りするってどういうこと!


 朱熹は眉根に皺を寄せたまま呆れかえった。
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