なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 周りから最強皇帝と持ち上げられ、若いながらも国を動かし、全てが上手くいっていたから知らずに天狗になっていた。


 項垂れる曙光に、一言も声を掛けず、秦明は立ち去った。


 秦明の言っていたことは、いつも耳障りで冗談半分に聞き流していた。


 周りはいつしか曙光に厳しいことを言わなくなった。


 朱熹も、秦明も、曙光のためを思ってきついことを言ってくれた。


 ……変わらなければな。


 曙光は、心の中で呟いた。


 俺は、周りや自分が思っている以上に、弱い人間なのかもしれない。


 弱い自分を見ないようにしていた。


 認めろ、俺は弱い。


 だからこそ、強くなる。


これまで以上に強くなって、大切なものを守る。


 奪われたり、壊されたりなど絶対にさせるものか。


 俺は強くなる。


 誰よりも、何よりも強くなって、夢を叶えるんだ。


 曙光は、天を仰ぐように空を見上げた。


 その眼差しは力強く、決意に漲っていた。
< 188 / 303 >

この作品をシェア

pagetop