なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 恋とは、不思議なものだ、と朱熹は思う。


 あなたがくれた花を見ていれば、あなたが側にいるようで寂しくなんかないと思った数秒後に、あなたに会いたくて仕方なくなる。


 あなたを好きだという気持ちだけで、心が満たさせて幸せなのに、あなたから愛されたらどんなに幸せだろうと欲が出てくる。


 あなたのことばかり考えて、頭の中を振り回されて苦しいくらいなのに、その感情でさえも愛おしい。


 理屈じゃなく、一言では言い表せないこの気持ち。


 今までとは違う、新しい感情が出てきて、自分のことなのに予測不可能になっている。


 恋って、面白いな。


 甘酸っぱくて、歯がゆくって、愛おしい。


 曙光から送られた芍薬の花を見つめながら、ふふふっと笑みが零れた。
 
 
 
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