なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 行きとは違い、すっかり項垂れて歩みの遅くなった朱熹に、案内役は面食らいながらも、黙ってついてくる。


 自分の部屋に戻ると、朱熹は寝所に横たわった。


 無力感が襲ってくる。


 自分は、一人では宮中も歩けない不自由の身。


 こんな私に、何の権限があるというのだろう。


 ……何もできない。


 曙光様がいなくては、私はただの女。


 はりぼての令嬢で、何のコネもない。


 何の役にも立っていない。


 心の声が聴こえるという理由で皇后になったのに、とても近くにいたのに密偵に気が付かなかった。


 大きなため息が漏れる。


 私はなんて無力なんだろう……。


 絶望感で打ちひしがれていると、ふと、『守らなければ』と言った林冲の言葉を思い出した。
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