なりゆき皇妃の異世界後宮物語
 ……まだ、諦めるわけにはいかない。


 朱熹はむくりと起き上がった。


 確か、今香は侍従長である甘露の紹介で女官になった今香子爵の令嬢。


 私とは違って、本物の令嬢だ。


 なにかツテがあるかもしれない。


 今香を部屋に呼び寄せると、朱熹は断られることを覚悟で話を切り出した。


「あの……急ぎで調べてほしいことがあるの」


 朱熹はおずおずと申し訳なさそうに言った。


「なんでしょう?」


 今香は、いつものように冷静な態度を崩さない。


「林冲が私の部屋に忍び込み、曙光様を襲おうとした時、守らなければと言ったの。

私はどうしてもこの一言が気になって仕方ない。

刑の執行は四日後。それまでに誰を守ろうとしていたのか知りたいの」
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