なりゆき皇妃の異世界後宮物語
それをいらないと放棄することは、尊い命の犠牲を見て見ぬふりをして、自分だけ安穏な暮らしの中で生きるということだ。


 富や権力をいかにして使うのか。


 私の使命は何なのか。


 恐れや謙遜の中で生きていては、救えるものも救えない。


(私は、誰かを守るためなら強くなれる)


 朱熹の前に巨大な城壁が立ちはだかった。


 この広大な宮殿こそ、朝廷、またの名を皇禁(こうきん)城(じょう)という。


 朱色の城門にぐるりと囲まれた宮殿は、金箔の煉瓦で屋根が造られ、龍の彫刻が施された太い柱が点在している。


 朱熹は、ゴクリと唾を飲み込んで皇禁城に乗り込んだ。


 案の定、城に入る前に門兵に立ち入りを拒まれた。


「ここは女人禁制の場所です」
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