なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「朝廷に入るというご無礼を働き申し訳ありません。いかなる処分も受ける覚悟です。ですが、まずは私の話を聞いていただきたいのです」


「女は朝廷に入るなと決めたのは、余ではない。

思慮深い朱熹が、こんな大胆なことをするとは、大きな理由のあってのことだろう?

大丈夫だ、処分などしない。話を聞かせてくれ」


 優しい曙光の言葉を聞いて、朱熹は安心した。


 きっとこの方なら分かってくださる。


林冲の死刑を取りやめてくれる……。


「林冲のことでございます。恐れながら、私の方で調べて林冲について分かったことがあるのです。

林冲は、家族を人質に取られ、陛下を暗殺しろと脅されていたのです。

決して本意ではなかったのです。

ですから、死刑というのはあまりにも重い処分かと……」
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