なりゆき皇妃の異世界後宮物語
☬ほどける紐糸
 曙光は、その後すぐにまた宮中を出て、大勢の家来を引き連れて天河国へと出立した。


 朱熹が朝廷に乗り込んだことは、あっという間に後宮内に知れ渡り、朱熹の軽薄な行動に非難する者が続々と現れた。


 これまで紫家の令嬢で正妻という絶対的な権威に守られ、表立って批判する者はいなかった。


それが、今回の形式を無視する大胆な行動によって、後宮内の規律を重んじる派閥から敵対視される結果となった。


 しかしながら、敵ができれば味方もできる。


 朱熹の何者も恐れぬ勇気と行動力に、憧れを抱く者も現れた。


 形式ばかりが増えていき、何のための規範なのか分からないと疑問を抱いていた彼女たちにとって、朱熹は時代を切り開くカリスマのように映った。
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