なりゆき皇妃の異世界後宮物語
「あはは、よく言われる。僕の顔ってありふれた顔だからね」


 ありふれているというより、どちらかといえば独特の顔だ。


こんなに綺麗な顔はなかなか見られるものじゃない。


(……あれ?)


 誰に似ているか思い出そうとしていた時、別の違和感に気が付いた。


(この人から、心の声が聴こえない……)


 朱熹がじっと見つめた時、陽蓮は何だろうと思ったはずだ。


いつもであればその時、心の中で声を漏らすはずなのだが……。


(心の中であまり呟かないタイプの人なのね)


 朱熹はそう思って別段気にも留めなかった。
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