君はアイドル
「そんな簡単に言うこと?!
私はそんなつもり全くなかったからびっくりしてるし、数日前まで何も知らなかったのにこんな…」
ワーワー騒ぐ私を余所にリビングへシレッと戻るので、もうっ!と言いながら付いていく。
「そんなつもりないのは最初から知ってたし、何も知らなかったなんて皆出会う前は他人だろ?」
もっともなことを言われて、騒ぐ自分が恥ずかしくなる。
「…なんで私なの?
あんなに綺麗な人が沢山いるのに。
あなたの事を知らなかったのが物珍しいだけじゃないの?」
冷蔵庫からペットボトルを出して私に渡しながら、答えを考える素振りを見せる。
ソファを指差し、誘導されるままに私はちょこん、と素直に座って彼の言葉を待つ。