夜。〜キャバ嬢の恋〜

 事件は、ある給料日、営業終了後に起きた。

 いつもどおり、なおの家に帰る。

 使い慣れた合鍵を差し込んで回す。・・・カギが閉まった。
 もとから空いていたということか。閉め忘れていることなんかはじめてだ。

 『なお?お前、カギ・・・』

 オレの耳に届いたのは、シャワーの音。

 『なお・・・?』

 バスルームをのぞくと、そこには、

 青白い顔で

 浴槽で眠った

 なお。



 手には深く深い切り傷と
 
 そこに当たるように流されたお湯。

 湯に沈んでいる方の腕も切られていて、

 床には、注射器。

 
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