亘さんは世渡り上手
亘さんは俺と三好先輩の間に入ると、俺を隠すように三好先輩を睨み上げる。
「……そ、そういうことでしたら、わたしの方がずっと和泉くんのことが好きですから!」
……えっ。
え……今なんて?
あー、いやいや、勘違いするな。今更だろ。そういう意味じゃない。もちろん、亘さんは俺のことが嫌いではないだろう。つまりは、好きってことだ。
友達としてな? 友達として。
……友達として、かぁ。なんとかならないかなぁ、それ。
俺がなんとかするんだよな。
「和泉くん!」
そして、亘さんは勢いよく俺を振り向くと。
「どうですか、わたしの笑顔!」
にっ、と勇ましい笑みを浮かべたのだった。
それは、今からの勝負に備えてなのか。
それとも、三好先輩に対してか。
どちらにせよ、可愛い笑顔には違いない。
「うん――百点満点だ」
俺がそう答えると、より一層嬉しそうに目を細める。
舞台上からは、亘さんを呼ぶ声が聞こえてきた。
「先輩、あんまり和泉くんに意地悪していると、許しませんから」
そう言い残し、ピンと伸びた背筋で幕の外へと、歩いく亘さん。
なんというか……。
このミスコン、亘さんが優勝しそうで怖い。
先輩以上にライバルが増えそうだ。
……そうなる前に、早く掴まえないとな。