亘さんは世渡り上手
「和泉くんはかっこいい、だと思います」
そんな声が聞こえたかと思えば、むすっとした表情で冷ややかに三好先輩を見上げる亘さんが俺の後ろからひょっこりと現れる。
ドキッとした。俺……かっこいいだって。
にやけそうになる――ダメだダメだ。俺は今三好先輩に対して怒ってるんだ。
「あ、亘ちゃん。もう出番だね。頑張って~」
亘さんの態度にはまったく気にすることのない三好先輩は、へらっと笑って俺の肩に手を置いた。
亘さんは眉をひそめる。
「あ、あの、さっきからスキンシップが多くないですか?」
「やー、なんか構いたくなっちゃうんだよね、和泉くんって」
「……そうですか」
バチッと、二人の間で火花が散った……気がした。
俺、さっきまで先輩と亘さんを取り合ってたと思うんだけど? どうしてこうなったんだ?
「先輩って、亘さんが好きなんですよね……?」
不安になって聞いてしまった。
もしかして三好先輩の本当の目的は俺だったとか……ない、よな? 俺、男にモテたことはないから、そういうのわからないんだけど。
「うん。ま、そうだね。あ、でも和泉くんのことも好きになったよ」
「もしかして、この人節操がない」
自分を信じることに関しては絶対的だったのに信念突き通さないのかよ。