茜空


かえちゃん
お帰り



朝7時
マンションの玄関口で

やつれた魔女のような
乱れた長い髪の
真っ黒ないでたちの
おかーちゃんが
地縛霊のごとく
ヌッと立って
ワタシを出向かた



!!お……おかーちゃん
ただいまっっ



かえちゃん
朝帰りしたね……



一瞬
おかーちゃんの
口許がピクリとした



え、
あ、
うんとぉ………



かえちゃんも
オンナってことね


(なんか
そー言われると
ムカつく…)



それより
かえちゃん

仕事手伝ってよ
私だけじゃ
時間が足りない






見れば
リビングの灰皿には
タバコが山になっていた




おかーちゃん
徹夜?

ってか
これ木野さんの
仕事じゃん??
何でおかーちゃんが?



おかーちゃんは
パソコンを打っ手を
ぱたと止めた



…かえちゃん………
今から言うこと
絶対誰にも言わないで!
いい!!?



う、うんうん…
分かったから
何?



木野さんの動き
おかしいんだ



おかしい?



あの男………
アツシと
こっそり会ってるみたい

かえちゃん
何か知らない?



おとーちゃん…と?
ワタシ最近
木野さんと
会ってないよ
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