茜空
いつもの温厚でソフトな
沢井主任
とは違う人みたい…
彼の手が
ワタシの肌をなぞる度
ワタシは計り知れない
幸福感に浸った
時折目に入る
彼の左手の薬指が
チラチラと
光に反射して
心に引っ掛かかったけど
そんなモノ…………
この場じゃ
何の意味を
持つって言うのよ………
今
この手の中の彼が
全てなのよ−−−
彼は
一言も話さず
夢中で
ワタシを求め続け
ワタシもそれに応える
むさぼる様に
彼のカラダを
何度も何度も
確かめて
きらめく時間は瞬く間に
過ぎて行く
気付けば
時計の針は
4時を指していた
…楓ちゃん…
軽蔑した…?
こんなことになって
しないよ
ずるいとは…思わない?
仕事のミスを
楓ちゃんで癒すなんて
…いいですよそれで
今の沢井さんの痛手
よーく理解して
癒してあげれるの
ワタシ以外
誰もいないはず
……奥さんにだって
できないでしょう?
それに…
沢井さんとワタシは
こんなことして
もはや同罪
どっちがズルイか……
どっちがズルくても
同じ罪を背負ったのは
事実……………
怖くないの?
何がですか?
………将来
とか
社長にばれたらとか
じゃぁ………
すごーーく怖いから
沢井さん
ワタシと一緒に
堕ちて
くれますか?
…本気?
ん〜…
半分は
楓ちゃんが
本気だったら
一緒に堕ちてみようか
地の果てまで−−−