愛を私の音色に乗せて。
翌日の放課後。
ちぃ君は亮君に連れられて学校に居残りさせられているみたいで、一緒に帰れなかった。
「…あ、大野さん!すみません待たせちゃいましたか?」
「お疲れ様!ううん、今来たとこだよ?
ささっ、乗って?」
「よ、よろしくお願いします…」
事務所に着くまでの数十分、趣味の話や学校の話なんかを沢山した。
「あとね、書類に書いて無かったんだけど、親御さん連絡先ってあるかな?」
「あ、母はずっと海外で仕事してて、基本携帯つながらないんです。家に帰ることも本当に希で…
だから、オーデションの事も知らないんです」
場所もわからないから手紙も出せないしね?
「え、じゃあ家で一人暮らし?」
「一人暮らし…だったんですけど、
最近は幼馴染と一緒に暮らしてて、」
「幼馴染か…そっか、なんか困った事あったらなんでも言ってね?一応大人だから」
「ありがとうございます!」