愛を私の音色に乗せて。


…ど直球で伝えられるととても恥ずかしいんだけど。

「撮影どう?」

「いい感じだよ?明日も朝からやるんだって」

そう、明日は朝焼けを撮るために早めに起きる。

「そうか。しんどくないか?大丈夫?」

「心配し過ぎだよ〜!
ありがとう、大丈夫だから!」

相変わらず心配性のちぃ君。
少したわいもない話をしてると、

「shion?」

「…あ、大野さん!」

ビールの缶を持った大野さんが現れた

「あ、ごめん長話して。
じゃあ頑張れよ紫音」

「うん!ありがとう。じゃあね」

そう言って電話を切った。

「ごめん電話中だったよね」

「全然大丈夫ですよ!
大野さんも夜空見にきたんですか?」

「うん、まあビール飲みたかったってのもあるけど」

「なんか、大人ですね…」

いつも大人っぽい大野さんだけど、
お酒を飲むという事実に、更に大人を感じる。

「僕はちゃんとした大人なんだけど?」

「ふふっ、そうですね!」

歌詞を書いていたペンや紙を片付けて私も飲み物を飲む
ん〜、やっぱり柚子の香りは最高ですなぁ…

「shionは何飲んでるの?」

「蜂蜜柚子サイダーです!」

「柚子好きなの?僕ダメだわ…
酸っぱいもの苦手なんだよね」

「えっダメなんですか?」

こんなに美味しいもの食べないとか、凄い勿体無い…!

「レモンも梅干しもダメなんだ」

へぇ…苦手なもの案外あるんですね…
酸っぱいものが苦手って、

「お子様ですね〜?」

冗談っぽくそういうと、

「うるさいな〜」

ってほっぺたをグリグリとされた。


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