青夏ダイヤモンド


「インスタ映えスポットを作るのはどうかな!?」

模擬店などがほとんどを占める文化祭だから、沖田くんもそれを主張するのかと思ったが、思いもよらない物に教室がキョトンとしている。

「インスタ映えスポットって、パネルとかを作るってこと?」

「そうそう。風船とか黒板アートとか花飾りとかでカラフルにして、この教室内にいくつか映えるスポットをつくるんだよ」

クラスメイトが質問したことによって、具体的にイメージし始めたのか、また周りがざわつき始めた。

「俺、絵心とかゼロなんだけど、そういうの得意な奴いるの?」

「アイディアはネットから探すとして、描くのは俺も苦手だから、そういうの得意な人に頼りたいって思ってる。いない?または美術部とか」

近くの人と顔を見合わせては首を振ったりしている。

もし、この中に美術部がいたとしてもなかなか名乗り出る勇気も無いだろう。

「はいっ!私、美術部じゃないけど絵は結構得意だし、インスタ映えスポット、やってみたい」

戸惑っているクラスメイト達の中から充希がスッと手を挙げて孤立しかけている沖田くんを救う。

沖田くんは女神を見たかのようにあからさまに嬉しそうな顔をしている。



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