憑き夜の悪夢 ~奪い合うナナミの体~

……そっか。妙に納得しちゃったよ。


だからお母さんは、小さい頃から家にいなかったんだ。


……だからあのときあたしを、抱き締めてくれなかったんだ。


なんとなく気づいてたけれど、ようやくはっきりしたよ…。


お母さんは生まれたときから…………あたしのことが大嫌いだったんだ。


「…………」


あたしはぽっかりと心に穴が空いたような気持ちで、その場を去った。


自分は無理矢理犯されて生まれた、望まれない子供だった。


……その事実は、まるで今までのあたしという存在の全てを否定された気分だった…。


「どうしてあたしは、この世界に生まれてきたんだろう? あたしは誰にも、望まれてなんかいないのに……」


……そうしてあたしは、自分に自信をなくし、モデルを続けていくことができなくなった。


顔にできた小さな傷をきっかけに、あたしの運命は大きく変わってしまったのだ…。
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