死神の恋
私たち園児に与えられたミッションは、この教室のどこかに隠してある金メダルを探して持ち帰ること。でも園長先生は絶対に無理をしてはいけないと言っていた。
だから『戻ろうよ』と言ったのに、真美は私のことなど気にもせずにグイグイと教室の中央に向かって行ってしまった。
この暗がりの中、真美から離れてひとりで教室から出て行く勇気はない。
真美の腕にしがみついたまま、恐々と足を進めた、そのとき……。
「うら~めし~や~」
弱々しい甲高い声が聞こえると同時に、髪の長い白い着物姿の女性が目の前に現れる。
「……っ!」
恐怖のあまり、驚きの声を発することもできない。そんな私をさらなる悲劇が襲う。
あっ、と思った瞬間にはすでに手遅れ。私の内ももを濡らす生温かい液体。それはすぐに床まで到達して大きな水たまりを作る。
お気に入りの浴衣も上履きも、ぐっしょりと濡れて気持ち悪い。
「うっ……」
恐怖と羞恥、そして困惑という感情が入り混じり、瞳から大粒の涙がブワリとあふれ出た。