御曹司とおためし新婚生活
そんなこんなで、ハプニングを無事に乗り越えたその夜。
私たちは二人揃って帰宅すると、今日は中秋の名月ということでお月見がてら縁側でおつまみをつつきながらお疲れ会をすることに。
キッチンに立ち、手際よくおつまみを用意する東雲部長の横に立って手伝おうとしたら「何もするな」とお断りされたので、私はおとなしく縁側ディナーのセッティング係に徹した。
縁側にモダンなデザインの座布団を敷き、丸いお盆の上にビールグラスを二つ置く。
やがて、四角いお盆にいくつかの料理を乗せて東雲部長がやってきた。
「団子がない代わりに、うずらの卵で串焼きを作ってみた」
「わぁ! 美味しそうです!」
丸い和皿の上で連なるうずらの卵はお団子みたいで可愛らしい。
その他にも、カルパッチョに牛タンのスモーク等、買い置きしてあったものを使って用意してくれた。
まずは乾杯しようと鈴虫の可愛らしい声を耳に並んで座り、ビールを注いだグラスを軽く打ち鳴らす。
「乾杯」
二人の声が重なって、同時にビールを味わった。
グラスのふちから唇を離すと、自然と息が吐き出される。