曖昧なポジション
「おい?」
「なにー?」
定時のチャイムが鳴り、素早く帰り支度を始めた私に、水沢は声を掛けてきた。
「おまえなんか変」
パソコンの画面から私に移された目は鋭い。
「変って?いつも通りじゃん」
そう、いつも通り。
私が演じてきた"いつも通り"に、違和感を覚えたのだとしたら、
ーーさすが、水沢。
「なら、いいけど」
「気にしてくれてありがと」
「別に。日曜、忘れんなよ」
「もちろんです!」
無理矢理に作った笑顔を水沢に見破られそうで、さっさとオフィスを後にした。
日曜の約束は、
忘れてしまったことにしよう。
いやそれが不自然なら、寝坊という理由にしてみるか。
水沢との約束なんて、その程度なのだと感じ取って欲しい。
そしてもう2度と、私を誘わないで……。