曖昧なポジション


「なんのために居留守を使ったの?そんなに俺と出掛けたくなかったわけ?そうなら事前にはっきり、断れば良いだろ」


正論を突きつけられ、玄関の扉を閉めて水沢と向き合う。


爽やかなブルーを基調とした私服。
ジャージ姿の私。
もうそこから、おかしい。



「だからこうして出てきたの。もう帰って欲しくて」



「……俺、なんかした?」



「なにも」



「じゃぁ、いきなり何?」



大きなキッカケがあったわけではない。ただ私が疲れてしまっただけ。


勝手に抱いてしまった恋心を捨て去ろうと、ずっともがいていた。


いい加減、諦めないとって。
良心が忠告してるんだ。



「水沢は、私の気持ちを考えたことある?」



好きな相手に映画に誘われて嬉しいと舞い上がり、そして楽しい時間の後に訪れる後悔。
断らなかった自分自身に、何度も腹を立ててきた。

矛盾している行動。



「お前の気持ちなんて、言葉にしなきゃ伝わって来ないよ」


「じゃぁ、言葉にしようか?」



壁を壊すのは、今か。




「ああ、聞いてやる」



上から目線の水沢。



今から私が言おうとしている本音など、予想もしていないのだろう。


その、余裕な態度を崩してやる!







「私、水沢のことが好き」








これまで言えなかった言葉をさらりと口に出来たことは、



もう終わりにしようと、



本気で決意した証。




どこかでまた、新しい恋を見つけられるのかな。




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