曖昧なポジション
唖然とする私の目の前で、余裕そうな表情を浮かべる水沢。
急な展開でついていかない頭と心は、うまく機能していない。
「そこまで見たい映画なんて無いわ。お前を誘う口実に決まってるだろうが」
「水沢……、」
「お前の気持ちなんて、よく分からないよ。だが反対におまえだって俺のこと分かってなかっただろう。お互い様だ」
「……ごめん、理解できてない」
「なんだよ、頭悪りぃな。とにかくデートするぞ。もたもたしないで、支度しろ」
「え……、」
「早くしろよ」
今度は水沢が私を強引に部屋の中に押し込んだ。
閉ざされたドアを開けて水沢の顔を見る勇気はなく、言われた通りにデートの準備を始めた。
結局は、水沢の言いなり。
馬鹿な女は今日もこうして、水沢に流される。
だいたい彼女がいる身分で"両想い"なんて言葉を簡単に吐けるなんて、本当に大した男だ。
なぜ奴のペースに乗せられなきゃならない!
洗面台に立ち、止まった涙がまた溢れ出しそうになった。
私、すっぴん……。
今日は厄日だ。