曖昧なポジション
「私と一緒にいて楽しいんだ」
照れを隠すように、
からかうような口調で問えば、
「じゃなきゃ、誘わねぇだろう。俺はそこまで物好きな男じゃないし」
淡々とした物言いで答えが返ってきた。
たぶんこれまで一度も、水沢は私を女として見ていないのだろう。気の合う同僚、そのポジションにずっと立たされている。
「よし。パソコンの電源、落としてくるわ。タクシーで帰ろ。おまえは支度して来い」
「うん」
壁に掛けられた時計の針を確認すれば、終電を逃したことが一目瞭然。
考え方を変えると、水沢と一緒にいる時間が長かったのは、私で。彼女さんは、会社という領域に足を踏み入れられない。
そんなくだらないことで自分が優位な立場にいると考えてしまう思考回路に、笑ってしまう。
会議室の鍵を閉めながら水沢に気付かれないように、そっと溜め息をついた。