ストーカーに溺愛されても嬉しくないんですが。


「つゆ!今日がなんの日かわかるか!?」


相変わらずうるさく付きまとってくるストーカー。


はあ。こりない人だ。


「ヒント!俺とつゆにとって、大切な日だ!!」


「...はあ?」


なんでわたしとあなたが“大切”を共有しないといけないんだ?


共有するものなんて何一つないはず。


「正解は~、俺とつゆが一緒に帰りはじめて1ヶ月記念日でした~!!記念日15日だから覚えやすいな!!」


......。


吐きそうなんだけど。



「もう1ヶ月も経ったんだな~!!」


あなたのストーカー記念でしょ?


わたしにはひとっつも関係ないでしょう。


わたしを巻き込まないで頂きたいですね。


「てなわけで!今日はデートするぞ!!」


「...」


「照れんなって!」


「照れてないです」


「そこだけ即答!?」


「行くなら一人でどうぞ」


「一人!?デートは一人じゃできないよ!?二人でするものだよ!?」


「へー」


ストーカーとデートする馬鹿がどこにいる?



「デートしたい~!デートデートデートデートデー」


「うるさいです」


だだっこか。


「記念日にデートしないでいつするんだよー!」


「いつでもしませんけど」


「こうなったら...俺は明日から毎日言うぞ!デートしたいって言うぞ!それでもいいのかつゆ!!」


ストーカーのくせに脅迫ですか?


「毎日だだこねるぞ!!」


...あなた仮にも年上でしょーが。プライドってものがないのか。


「どっかカフェ寄るだけでもいいからさ~!

そうだ!駅前に新しいクレープ屋できただろ?あそこ行こう!」


ピクッ


...麻尋が今日おいしいって言ってたところだ。


「...お金ないんで」


「おごる!!」


「...」


「つゆ~」


「...今日だけ、ですからね?今日だけ」


「そんな“今日だけ”を強調しないで!!」


これはデートなんかじゃない。


わたしはクレープを食べに行くだけだ。


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