ストーカーに溺愛されても嬉しくないんですが。
「あんま並んでなくてよかったな!!」
クレープ屋に到着し、わたしたちは最後尾に並んだ。
思ったよりは人は並んでいなかった。
麻尋が行ったときは行列ができていたらしい。
「つゆ、なんにする?」
「んー...」
「俺のおすすめはキャラメルイチゴだ!!」
「甘ったるそうですね」
「そんなことないぞ!!」
「じゃあ、それで」
「うお!まじかまじか!!つゆが俺のおすすめを!!」
「いちいちうるさいです。先輩は?」
「俺は、チョコバナナ!!」
「定番ですね」
「定番が一番だろ!」
「わたしにはキャラメルイチゴ推してきたのに」
「前食べたときうまかったんだよ!!」
「ならいいですけど」
そんな会話をしていると、わたしたちの順番が来て、
先輩は約束どおりクレープをおごってくれた。
「チョコバナナうまい!!」
食べながら帰路につく。
「キャラメルイチゴはどうだ??」
「なかなかいけます」
「クレープとつゆ。うん、なかなかいい絵だ!!」
「意味分かりません」
「わかるだろ!!可愛い×可愛いだよ!!」
べつにわたしは可愛くないが。
「じゃあ、金髪×クレープは不似合いですね」
「ギャップ萌えってやつだよ!!」
「...」
この先輩は、話せばクレープが似合う人間だとは思うけど、
黙っていればほんとうに不似合いだ。
だって見た目がヤンキーみたいだから。
金髪だし、顔だっていかついし、ガタイもいいし。
だけど、そんないかつい顔がニィーッて目尻を垂らせて白い歯を見せて笑うと...
0.00000001ミリだけ可愛いとは思う気がしないでもない。