大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
遊具の隅の水道から水をバケツにくんで、薄暗い公園を照らす灯りから少し離れたところに行く。
千尋は、袋の中から花火をとりだして、私に差し出してくる。
さっき、大きな花火を見たばかりだから、手持ち花火ではレベルががくんと下がるけれど、手持ち花火には手持ち花火のよさがあると思う。
第一、となりに、千尋がいる。
カチ、と音のあと火の光が点滅して生まれた炎を花火の先に千尋がつけてくれる。
数秒の後、花火に火がうつって、勢いよくカラフルな光が飛び出した。
久しぶりの手持ち花火だからか、思ったよりも勢いのある火に驚いて、花火をもつ手から身体をなるべく遠ざけようとしてしまう。
そんな私をみて、千尋は、ふ、と馬鹿にしたように笑った。
それから、自分の持つ花火にも火をつけて、しゃがみこむ。
私も千尋の真似をして、ワンピースが汚れないように、となりにしゃがんだ。