大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
階段を降りて私の前に並んだふたり。
交互に見て、それから千尋に視点を定める。
センター分けに、ツーブロック。
今日も今日とてその柔らかい髪には乱れがない。
新しい千尋の髪型が見慣れてきたことも、いま、ふたりで私の前に立っていることも、嫌で嫌で仕方ないのに、どうやったらうまく笑えるんだろう。
「虹?」
「…なんでもないよ、えっと、…今日も帰れないとか?」
「なんで。虹と帰るよ」
「………」
そこでゆっくりと視線を隣に向けると、綺麗な二重の目が細められて、はじめまして百瀬ひなのです、と透き通るような声で言われた。
艶のあるきれいなストレートロングの髪、目の下の泣きぼくろ、高い鼻、薄い唇。
すごく、きれい。
想像していたよりきれいな、お姫様。
そこで、ふと水嶋くんの言葉を思い出して手首に目をむければ、しっかりとカーディガンに包まれていて、その下に傷があるとは思えなかった。