大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「この子が、朝比奈くんが話してた虹ちゃん?」
きれいな百瀬さんの声に、千尋が頷く。
その流れで気づく。
千尋はこの子に私の話をするんだ、って。私には、話してくれないくせに。
特別、なんだ。
ちょっと垂れ目で、童顔で、笑うと八重歯が出る私は、この完璧なお姫様と、その横で穏やかな表情でいる千尋の前にどんな風に立っていればいい?
「虹、帰ろう」
千尋が百瀬さんの隣を離れて私に近づく。
それから、じゃーね、と百瀬さんに愛想のいい、ばいばいをして、私をおいて下駄箱にむかった。
ひらひらと手をあげて笑い返した百瀬さんの手首はやっぱりしっかりとカーディガンに守られていて見えなかった。