大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「…えっと、」
「ふふ、なんでもないよ。ほら、虹ちゃん、朝比奈くんが待ってるよ?」
そうやって首をかしげられて、私はもう百瀬さんと目を合わせたままでいることはできなくて。
うん、と小さく頷いて、背を向ける。
どくどく、と嫌な感じに心臓はなっていて、千尋、私より絶対彼女の方が怖いよ、と伝えられないことを強く思う。
これはたぶん女の子にしか分からない。
だまされてる。千尋。千尋がどう思ってるのかは知らないけど、たぶん、彼女は千尋が思ってるような女の子じゃない。
苦しさより恐怖とか憤りとかそういうものを抱えながら、玄関の外に出たら、先に靴をはいていた千尋が待っていた。
いま、私と百瀬さんの間で交わされた言葉なんて一つも知らない呑気な顔で、どんだけ靴履くのに時間かかってんの虹、ってからかうみたいに笑う。
私はうまく笑い返せずに、待っててくれた千尋をおいて校門にむかう。
それでも、すぐに千尋は私に追いついて、隣に並んだ。