大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
そこで、ゆっくりと視線を千尋に向ければ、困惑した表情の彼と目が合う。
風が、小さな音を立てて私たちの間をすり抜けていく。
分かっててきいた。
たぶん、付き合ってはないんだろうなってことは。
だけど、そう聞いたときにどんな表情をするのか、それを答えにしようと思った。
でも、ただ困惑した顔をされたら、そこにどんな感情が含まれているのかは分からない。
「付き合ってないよ。なんで」
「いや、…なんとなく」
「百瀬は、そういうんじゃない」
じゃあ、どういうの?
千尋の目が私を透かして遠くの方をみるようなものに変ったから、私は焦って、焦って、もうどうしようもなくて、身体の奥から湧き出てくるみたいに流れてくる言葉を止めることができなかった。