大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「…苺チョコバナナ、ホイップ多め、トッピングはメープルナッツ」
「……うん、よく覚えてるね」
「それ食べたら、ちゃんと疲れとれる?」
最近はいってなかったクレープ屋さん。
なのに、千尋は私の好みを完全に覚えている。ずるい。
前は別にそういうこと嬉しくならなかったのに、今は嬉しいって思ってしまう。
そう思うと、昔の私の方が贅沢だったかもしれない。
だけど、今の私は前よりずっと貪欲だ。
さっきまで歩いてきた道は、夕焼けに染まりつつあって、そこを縫うように戻っていく。
放課後デート、ってこれであってるのかな。
帰り道によるとしてもせいぜいコンビニくらいだから、それに比べればレベルアップしているようには思うけれど、果たしてただクレープを食べに行くのって放課後デートと呼べるのかは分からなくなってきてだんだん不安になる。
でも、もう今更仕方がないことで、私はおとなしく千尋の隣を歩いた。