大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
だけど、頷いた瞬間、あ、と本能的に頷いたことを後悔した。
それでも、たぶん。
千尋は私が嫌だって言っても、結局は、その電話をとっただろう。
「もしもし、」
「うん。……え。うん」
「大丈夫?……え、まじ、」
相手の声は聞こえない。
でも、千尋の顔は神妙で、相づちの雰囲気をみても、電話の内容がいい話じゃないということは分かる。
どくん、と心臓は嫌な感じに震える。
パラソルに風がはいりこむ。
夕暮れが、何かをつれてくる。
その代わりに、クレープの甘ったるさを、かっさらっていく。