大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
だけど、この前のことを思い返せば、衝撃も、その衝撃によって広がる黒い感情も、少しだけましだった。ああ、またか、って半分諦めたような気持ち。
「お昼ご飯一緒に食べてるって俺が言ったの覚えてる?」
「……うん」
「最近、よく二人で購買行ってる」
ゆっくりと手をおろして、水嶋くんが私の方を向く。
それが、視界の端で確認できたけれど、未だ私は水嶋くんが示した方向から目を離せない。
パンを選ぶ可愛い百瀬さんの、少し後ろでそれを見守っている千尋。
二人だけをじっと見てしまう。
目をそらす方法を、今この瞬間だけ忘れてしまっている。
千尋が百瀬さんのところに行ってしまったあの日は金曜日だったから、結局、千尋にはあれから会えていない。
今日の放課後は一緒に帰るんだろうけど、さすがにあんなことがあっての今日だからうまく話せるかはわからなくて。
それに加えて、今の光景だ。
あの夜の、おやすみ、のメッセージに返事をしなくて本当によかった、って今あらためて思ってる。