大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「今日さー、なんで俺が鮭おにぎりじゃないか分かる?」
「分かるわけないよ、そんなの」
「はは、だねー」
「………」
「なんでかって言うとねー、枢木ちゃんを購買につれて行きたかったから」
「どうして?」
そこで、真っ正面に立っていた水嶋くんが私の横にすっと移動して、耳に顔をよせる。
秘密話をするようなそぶりを見せる水嶋くんに嫌な予感しかしない。
こんなところで普通より近い距離にいる水嶋くんに、女の子たちがこっちを見てこそこそ何か言い合ってるのも確認できて。離れて、と言おうとしたら、す、と水嶋くんの右手が前に伸びて、人差し指である方向を示した。
「ほら、見て、枢木ちゃん」
水嶋くんの声。
水嶋くんの視線、指先。
それをたどるようにして、ゆっくりと視線を動かせば、思わず息が止まる。