大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
水嶋くんはいつも通りつかめない表情をしていたけれど、いつものようなゆるい笑みは浮かべていなかった。
じっと、私と瞳をあわせて、ゆっくりと瞬きをする。
その仕草すら、挑発しているかのように思えてしまうのは、こんな状況では仕方のないことだろう。
本当に水嶋くんは性格が悪い、とこころの中でだけ文句をいう。
鮭が好き。
それ以外は絶対に自分のことをさらさない水嶋くん。
そんな彼が、「枢木ちゃん、」と名前を呼ぶと同時に、カサ、と鮭フレークトーストを包むラップ同士がこすり合われるような音が鳴った。
そして。
「――朝比奈なんてやめて俺にしなよ」
彼の甘ったるい声を私は初めて聞いた。