大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
ゲームセンターは、小学校の時に千尋と千歳くんと私でよく行っていたけれど、千歳くんが中学生になってからは、もう行ったことがなかった。
千歳くんと私はカードゲームが好きだったけれど、千尋はお金をコインにかえてやる金魚すくいのゲームを一人でやっていたのをなんとなく覚えている。
だから、三人でゲームセンターに行っても、私と千歳くん、そして千尋の二人と一人の二手に別れることが多かった。
水嶋くんと二人、自動ドアをくぐれば、コインの音、ゲームの音、それに対抗するような店内BGM、それらがいっぺんに鼓膜を刺激してきて、思わず眉をしかめる。
そうだ、こういう空間だった。
七年くらいはきていなかったからどんなところか大分忘れていた。
あの頃、自分の胸を躍らせていたカードゲームの機械はもうなくて、見たことがない新しいものに変わってる。それに、当時はなかった新しいゲームなんかも追加されていて。
「すごい、パワーアップしてる……」
「あはは、目輝かしてんなー枢木ちゃん。何したいー?」
「分からないから、ベテランの水嶋くんにまかせる」
「ベテランって何、まーいーけど。んー、じゃあ、クレーンゲームしたいー」
「いいよ」