大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
ずらりと並んだクレーンゲーム。
水嶋くんは慣れたところを歩くように進んでいく。
小学生くらいの子もいるけれど、学校帰りの中学生や高校生もちらほらいて。
私のイメージと違って、ゲームセンターは小さな子どもだけの遊び場ではなくて、私たちくらいの年代の人もくるみたいだ。
クレーンゲームは、お菓子をとるものもあれば、ぬいぐるみをとるものもあって。
水嶋くんの後ろをついていって、いろいろなクレーンゲームを見ている中で、一台、自分の大好きなキャラクターのぬいぐるみがたくさんつまれているクレーンゲームを見つけて、思わず立ち止まる。
そうしたら、水嶋くんも足を止めて。
それから、私の視線の先のぬいぐるみを確認して、ゆるりと笑った。
「枢木ちゃん、星のカーフィー好きなの?」
「…うん、好き」
自分の好きなものがそこまで親しくない相手に伝わるってなんだか恥ずかしいなと思いつつ頷けば、「ギャップあんねー」と水嶋くんは少しだけ驚いたようにとろんとした目をゆっくり瞬かせた。
ゲームなんてあまりしない私だけど、なぜか星のカーフィーだけは一目見たときから心奪われて、ぬいぐるみも実は部屋に二つある。
今、足をとめたところのクレーンゲームの中には、コックさんの帽子をかぶってフライパンをもったカーフィーがいて、もう、なんというかたまらなく可愛い。
ぜひ、部屋に迎えいれたい。