大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】




「あのさー君、時給発生してんだよね?店員ね、君。それで、俺、客。今さー、君が愛ちゃんの友達で、俺が愛ちゃんと関係もっていた相手っていう立場でお互いここにいるわけじゃねーの。あと、俺一回関係切ったやつとは、また、とかないから。連絡先も削除したし、もう会うつもりないよ。つーか忘れてたわ、ごめんねって言っといて。はい、てことで、はやく案内してくんねーかな?」



言い終わったら、ゆるい表情に戻って、枢木ちゃんごめんねー、と私を振り返って間延びした声で謝ってきた。

水嶋くんが彼女に言ったことはどう考えても正論で、それに店員さはもう何も言い返すこともできず、納得のいかない顔で私たちを案内してくれた。

やっぱり、水嶋くんはつかめない人だ。



だけど、はっきりしたことが一つだけある。


美優が前言っていた言葉を思い出す。
『水嶋くんはけっこー遊んでる』みたいなことを彼女は確か言っていたんだ。


それが本当なんだって、今の会話を聞いて確信した。



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