大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】







「――手、つないでもいい?」




震えてしまった声。

語尾にかけてしぼんでしまって、耐えきれずに、千尋から目をそらしてうつむく。




言い終えた瞬間、加速していく鼓動と、じわりと頬に集まる熱。

がんばる、ってやっぱりすごく勇気がいるし大変なことだ、ってまだ返事ももらっていないのに言い終えてぜんぶ終わった気になってしまう。

騒がしい園内なのに、あまりうまく音が耳に入ってこない。





数秒の沈黙に包まれている。

何も答えない千尋に徐々に不安な気持ちが膨れていき、ワンピースの裾をぎゅっと握りしめながら、そっと顔をあげる。





そうしたら、なぜか難しい顔をした千尋がいて。



だけど、私と目が合った瞬間に、こくんと喉仏を動かしたかと思ったら、その顔の難しさをどこかに追いやって、千尋は首を縦に小さく動かした。






「虹がつなぎたいなら、いいよ」





ゆっくりと差し出される手。



その手のひらに目をやれば、こころの奥から何か熱いものがこみ上げてきて、ああ、これが恋だ、と泣きたいような、笑いたいような、気持ちになった。




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