大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
そんな中で、私の手首をつかんだまま、引っ張るようにステージをおりた。
そこで、沈黙が破れて、誰かが黄色い声をあげる。
それが合図だった。
叫び声、からかうような声、時には悲鳴。
特に女の子たちの声が体育館に響きだす。
四方八方から視線が刺さる。
それなのに、本当にひとつも気にしていないんだね。
いま、この空間には私しかいないんだってそんな態度をみせたまま、喧噪をくぐりぬけるように体育館を出た。
つかまれた手首がいたい。
どこに歩いて行くのかわからないけれど、体育館を出たら、頭も働き出して。
それで、私は、この恋に決着をつける機会を逃したんだと分かった途端、絶望した。
「……離して!」
「やだ」
「離してってば!!」
「嫌だっていってんじゃん」
冷たい声。
なんで、そんな悲しそうにするの。
なんでちょっと怒ってるの。
悲しいのも怒りたいのも私なのに、なんでなの。
一向に手首を離してはくれない千尋につれられてたどり着いたのは空き教室で。
そこで、ようやく、手首をふりほどいた。
千尋を睨む。
でも千尋は、にらみ返しもせず、ただ苦しそうにまゆをよせて私を見ていた。