大好きなキミのこと、ぜんぶ知りたい【完】
「―――『虹は、千尋が好きなんだよ』」
「……、」
「そういったとき、虹は泣いたんだよ。それまで泣いてなかったのに、千尋の名前を出した瞬間、虹は泣き出して。で、本当のことをいうとそのときだよ、俺が、もう終わりだ、ってはっきり思ったのは」
ひゅぅー、と首を夏の風がなでていく。
知らない間に結んでいた唇をほどく。
千歳くんは、となりで相変わらず穏やかな表情を浮かべている。
その頬には、えくぼがあって、もう私との過去にそのえくぼが失われることはない、とそう言ってくれているような気がした。
屋台の灯りがあまり届かないこの場所で思い出しているから、責められている心地になることがないのかもしれない。