社長はシングルファーザー
それをしっかり見届けた私たちはこっそり部屋を抜け出し、二人きりでバーで飲み直すことにした。

『仕事のことは考えない』と言っていたはずなのに…お酒が入ると饒舌になり、ついつい仕事の話をしてしまう。

それは敦之さんもおんなじで。

敦之さんは特に仕事に熱い人、誰よりも仕事を1番に考えている。

そんな敦之さんは大好きだけれども!もっと圭斗くんに寄り添ってやってほしい。

そう思ってきた。

これからはそうなるように、私が二人の距離を近づける架け橋になればいいなと心底思った。

「敦之さん、仕事は確かに大事かも知れません。けど、無理しすぎないで貰えませんか?私に出来ることがあるのであれば一人で抱え込まず、私を頼って貰えませんか?私にも代表として会社を守る責任と義務があります。仕事ガンガン回してください」と私が言うと、

「それで君が倒れたら俺はどうすればいいんだ?それこそ俺は立ち直れないぞ?」と敦之さん。

「自分のメンテナンスも出来ないほど、仕事してませんよ。私は。もっと圭斗くんに寄り添ってやってほしいんですよ。たった一人の大切な身内でしょう?敦之さんが倒れる方が被害が大きくなりますよ」と私が言うと、そうだな。気を付けると頷いてくれた。

「圭斗にはたくさん辛い想いも寂しい想いもさせてきたんだ。結局俺は圭斗を口実にしながら、自己満足するような生き方しかしてこなかったんだなって改めて思ったよ」としみじみ言う敦之さんに

「良いじゃないですか。そう生きても、これからは圭斗くんのそばに私もいます。もちろん敦之さんのそばにも、いっぱいわがままして楽しく暮らせたらそれでいいんですよ」と私は言った。

「すまんな。迷惑かけて」と敦之さんは言う。

「迷惑なんて思ってませんよ。圭斗君は自分のせいで社長が苦労して色々諦めてるって思ってるみたいですよ。私はそんな二人を見てもっと二人が二人らしく、そして輝ける人生を送って欲しいと思ってます。そんな二人の人生に少しでも華を添えられたらいいなって思ってます」と私は言った。

「ありがとう。俺はホントに恵まれてるな。お前に出逢えたんだから」と敦之さんは言ってくれた。

「明日は初体験をたくさんして貰いますよー覚悟しといて下さいね?」と私は笑った。

「…なぁ、こんなタイミングで言う質問じゃないかもしれないんだけど…俺のことどう思ってる?」といきなり敦之さんは言ってきた。

「えっ?いきなり何言うんですか?」と私は言った。

「…いや、俺男としてどうかな?って」と敦之さんは言うので、

「社長として、カッコいくて、頼りがいがあって、会社想いで素敵だと思います。そして何より、圭人君を大切にしてるのよくわかります」と私がいうと、

「…そんな客観的な話じゃなくて…お前からして、俺という男はどうか?って話なんだが…」と敦之さんに言われて私はハッとした。

「カズトとはまだいい関係でいれてるんだよな?その、まだ未練とかあったりは…」と敦之さんは照れながら言った。

「未練は全くありませんよ」と私は即答した。

「…そうか」とだけ敦之さんは言った。

「急にどうしたんですか?」と私は聞いてみる。

「…いやな…その、圭斗もお前には懐いてるし、俺も…その、お前を気に入ってる…というか、なんというか…」とハッキリ言わずモゴモゴ言う敦之さんに少し苛立った私は、

「ハッキリ言ってくださいよ!回りくどい言い方されても私、わかりませんよ?」と私は言った。

「好きなんだ。本気で。飛鳥を…カズトと昔付き合ってたの知って…なんかスゴく胸が締め付けられるくらい苦しかった。

俺は今まで、圭斗を理由にして、避けてきた。けど、飛鳥だけは違った。俺の息子だと言っても、圭斗と俺のことちゃんと考えてくれてた。それが嬉しかった。何よりお前が傍にいてくれることが何よりも安心できた…なんか圭斗に取られそうって少し不安にもなったりして…」と敦之さんは想いを語ってくれた。

私はそれが1番嬉しかった。

「ありがとーございます」と言う私、

「俺と本気の恋愛してくれないか?もちろん、結婚を前提に…結婚するならお前しか考えられないんだ」とハッキリ言ってくれる敦之さん

私は「よろしくお願いいたします」と頭を下げた。

そうして、私と社長は恋人となった。

その後、ゆっくり部屋で休んだ。


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