社長はシングルファーザー
私たちはバーで乾杯した。

「まさか、お前がアイツの会社にいるとはな」とカズトは言う。

「私も驚いたわ。大事なクライアントで何としても契約取りたい相手だって言われて、再資料の作成とはね。不安だったわ。そんな大切なやつ、私がして良いのか?って。けど、要君が、社長のご指名だからって言うから、お受けしたらあなたなんだもの。ついつい、カズトなら突っ返されて当然でしょう?って言っちゃったじゃない!」と私が言うと、カズトは笑ってくれた。

「大事にされてるんだな」とカズトは笑った。

「ねぇ、何で私たち…別れたんだろうね」と私が言うと、

「そうだよな。もし別れてなかったら別の世界が見えてたかも知れない。けど、これからも仲良くしよう?俺はお前を大切にする。もちろん友人として」とカズトは言うので

私は頷いた。

「なあ、まだパートナー探してるの?」とカズトはいきなり聞いてきた。

「うん。今までずっとその場しのぎだったからちゃんとずっと一緒にいれる人に出逢いたいんだ。だから今年も海出るけどね」と私が言うと、

「そっか。俺がサーフィン出来たらなぁ。多分パートナーになってやれるのにな」とカズト。

「ありがとね。カズト…あなたは優しすぎるわ。けど、今年こそは見つける予定だから!」と私が言うと、「頑張れよ。お前の頑張ってる姿が好きなんだ。俺は…カッコいいといつも思ってる」とカズトは言ってくれる。

数杯めのカクテルで充分仕上がってる私は

カズトの優しさに甘えてしまう。

そして私たちは、酔いに任せて、体の関係を持ってしまった。

「おはよう」と爽やかに言われた。

「酔った勢いですよね?」と私。

「あぁ、気にすんな。もしアイツになんか言われたら、関係ばらしていいから。お前には怒らんだろ。俺を責めてきたら責任もって守るから。二人の秘密ってことで!」とカズトは言った。

「ありがとう。ごめんね。多分もう一度あなたと恋愛は無いと思うけど」と私。

「当たり前だろ?ダチに戻ろう!ちゃんと。ほら、早く準備しな?遅刻するぞ?着替えて行きたいなら家まで送る!また連絡するから」とカズトに言われて、準備を整え、

家まで送って貰い、着替えて、出勤した。

「おはようございます!」と私は言ってデスクに着いた。

デスクに着くと、

「獅童さん、社長がお呼びです」と先輩に声をかけられた。

まさか…もうバレたってこと?

いや、そんなことは無いはずだわ。

てか、バレても関係ない。私はフリーよ?

問題なんて無いわ。

要君がなんか言ったってことも考えられないし…

私はとりあえずドキドキしながら社長室に向かった。

社長室のドアをノックし中に入った。

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