夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】

「悪りぃ悪りぃ!真剣に何書いてんだよ?」

ワシのイタズラじみた行動にも、ノイは一切怒りを抱かず穏やかな表情。ペンを受け取り、ノートを見せてくれた。

日記ーー?
どれどれ、と見た時は一瞬そう思ったが、読み進めていくと……それは物語。小説だった。

「僕、小説家になりたいんです!」

ノイが、声を弾ませて言った。
その突拍子も無い言葉にノートから顔を上げると、透き通った、真っ直ぐな眼差しのノイと目が合う。
そしたら、不思議じゃ……。

小説家になりたいーー。
その言葉を聞いた時に、確かに「はぁ?」と僅かながら頭に浮かんだ呆れた感情が、失くなった。

濁りのない、美しい灰色の水晶のような瞳には、汚れも嘘も感じなくて……。
ノイの笑顔につられて、ワシも笑って、「そっか」って言っていた。

彼を見たら、馬鹿にする気持ちも否定する気持ちも起こらない。
ただ、ひたすらに真っ直ぐで、眩しくて、美しい……。
本当に、不思議な少年。

しかし、ワシがノイに脅かされるのはこれだけじゃない。
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