夢の言葉と約束の翼(中)【夢の言葉続編⑥】
***

翌朝ーー。

「……。っ!……マオ、さん?」

窓から刺す朝陽に顔を照らされて目覚めると、ベッドで眠る私の枕の横で、自分の腕を枕にして眠るマオさんの顔が見えた。
彼は自分はベッドには上がらず、床に座り込んで……。きっと泣き疲れて眠った私を、ずっとベッド脇で見ていてくれたのだろう。


「……風邪、引いちゃいますよ?」

そう呟いて彼に伸ばした手は、横になったままの状態の私にはギリギリで届かない。
その距離は、まるで今の私と今の彼の微妙な心の距離のようで……。

ーーいや。
ヴァロンとマオさん。二人への想いに揺れて、ハッキリと自分の気持ちを言葉に出来なかった私の心の弱さだ。


「マオさん!起きて下さい、朝ですよ?」

私は自分の気持ちを切り替えて起き上がると、マオさんに近付き肩を叩いて起こした。
少し眠たそうに目を擦って、虚ろに顔を上げたけど……。私の笑顔を見て、微笑み返してくれる。


「おはようございます、アカリさん」

「おはようございます、マオさん」

愛おしい人と待ち望んで迎えた朝は、決して夢に見た形とは違う。
でも、目の前で不器用に微笑む彼を見て、私の心は……それだけで暖かくなっていた。
< 334 / 411 >

この作品をシェア

pagetop