ばすけ。

当然のように厳しい練習。
毎日体はボロボロだった。
それでもシュートが
入る瞬間は何度やっても
快感である。

***

夏休みに差し掛かる。
毎日北滝小で練習をする。

3年生がいない体育館は
さらに活気を失っていた。
新入部員も半端なく多いが
ふざけてるようにしか思えず
どうも最初は好きに
なれなかった。
まだ2年生の私達は
3年生と言う自覚を
持ちきれないでいた。



「シュート!」

私の手から放たれたボール。
弧を描きながら凜とした
ゴールへと吸い込まれていく。

―入るっ!


―パサッ


ボールとネットが
擦れる音が響く。

久しぶりの練習試合で
楽しかった。

「ナイッシュ」

智奈からの声。
シュートをいれる瞬間は
仲間が信頼してくれ
敵を苦しめる快感。
でも…するりと
弱々しい私のDFをかわし、
相手は点数を決める。

「しっかり守れぇっ!」

野山先生からの激が飛ぶ。

相手の目を見る。
しっかりと腰を落とし
相手の懐へと入る。

―右だ

咄嗟の判断をした私は
方向付けを変える。
パスを出される。
開いてカバーポジションに
立とうとした時だった…。

―パシッ…パサッ

完全に裏をやられた。

―ピーっ

交代の合図だった。
自分の無力さに泣けてきた。
本番じゃないけれど…
もっと上手くなりたくて
自分は無力で憤りを感じ
訳もわからずに
汗として涙をふいた。




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