いじわるな藍川くんの愛が足りない


「...なに?」


「もう少し詳しく説明してくれない?」


「...え?」


藍川くんがわたしのことを見てる。


それだけで、悔しいけど、緊張してしまう自分がいた。


「図書室だったら、本は何冊借りれるかとか、期間はどれくらいだとか。

生徒会室だったら、生徒会長の名前くらいは言うんじゃない?普通」


「...」


「案内する気あるわけ?」


「...ごめん」


「別に謝られても」


きっと目の前のこの人は、本当に知りたくて言っているわけではない。


わたしはなんとなくそう思った。


ただ一般論を口にしているだけだ。


そんな一般的なこともできない、というか、しないわたしを責めてるんだ。


...この人、絶対わたしのことが嫌いなんだ。


だって、クラスでのクラスメイトへの態度とまったく別人のよう。


わたしと二人で歩き出してから、一度だって笑みを見せただろうか。


一目惚れと告白してくることが一番嫌い、そしてそれをしたわたしが嫌いということだろう。


人間は、嫌いな人がいたら、関わりたくないか、いじめたいかのふたてにわかれると思う。


この人は、きっと後者なんだ。


なんて性格の悪いひとなんだろう。

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